ニュースや会話で、SDGsやサステナブルという言葉を聞くことが多くなりました。
U A E(アラブ首長国連邦)が設けている「ザーイド・サステナビリティ賞」は今年15回目を迎える世界的な賞です。弊社は今年、日本事務局として、この賞の広報と応募に関する事務をお手伝いする仕事をしています。
この賞は、サステナブルで革新的なソリューションを提供する中小企業やN P Oを世界で発掘し、その功績を称えるというもので、SDGsやサステナブルという言葉の意味や重要性が広く知られる前からUAEが世界中の企業や団体を対象に行ってきた取り組みです。
日本ではまだ認知度が低いと思いますが、受賞者には青色LEDでノーベル物理賞を受賞した中村修二教授や、元アメリカ副大統領のアル・ゴア氏がいます。審査員も、ヴァージン創業者として有名なリチャード・ブライソン氏や世界トップレベルのMBAスクールとされるINSEAD会長などの顔ぶれが揃っている、グローバルでスケールの大きな賞です。
賞の部門は、保健、食糧、エネルギー、水資源の4部門があり、中小企業やNPOが応募可能です。2022年7月6日まで応募を受け付けています。
賞金は総額300万米ドル(約3億4,600万円)です。部門の受賞者には60万米ドル(約7,600万円*2022年5月現在の換算)が贈られます。最終候補者に選ばれると、2023年1月にアブダビで行われる表彰式に招待され、サステナビリティウィークに参加し現地での視察ができます。
応募は英語になりますが、応募のフォーマットは質問に答えていく方式で記入できるので、一からプレゼンテーションを作る必要はありません。ぜひ日本からもたくさんの応募をしていただきたいと思っています。応募は別の年に3回まで行うことができます。
さらに高校を対象としたもう1部門があります。これは高校生のS D Gに関する活動プランを提案してもらい、世界5地域ごとに一つの高校を選び、実際に活動を実施してもらうものです。2022年1月には、軽井沢の全寮制国際高校「ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン」が、バイオマスボイラーの導入、生ゴミの堆肥化の促進、種子バンクの設立、ファーマーズマーケットの開催をはじめとする、キャンパスのサステナビリティを目指した11項目の取り組みで応募し、日本の高等学校として初めて受賞しました。
同2022年の他部門の受賞者は下記の通りです。様々なユニークな取り組みが選ばれています。
保健部門
アルゼンチンの Mamotest 社が、テレラジオロジー(遠隔画像診断⽀援サービス)および遠隔診 断を利⽤し、診断数と救命サービス数を向上させた取り組みが評価され、受賞しました。Mamotest 社は、現在、乳がんに罹患した患者に質の⾼い医療サービスを提供するセンターを運営しており、5 年後にはその対象者を 100 万⼈以上に拡⼤する計画です。
食糧部門
インドの S4S テクノロジーズが、⾷糧保存と脱⽔システムにおいて重要な役割を果たしたことが 評価され、受賞しました。同組織は、農村部の⼥性の地位向上と新技術の活⽤に取り組み、⾷糧廃棄の削減と農家の収⼊向上を⽬指しており、⼥性農家の収⼊増加を⽀援するため、太陽光発電技術を導⼊しています。
エネルギー部門
バングラデシュに拠点を置く SOLshare は、P2P(Peer-to-Peer)電⼒取引ネットワークを相互接 続したマイクログリッドを構築し、同国の農村地域全体でより効率的な配電を可能にしましたエネルギー管理における取り組みが評価され、受賞しました。SOLshare は、1,000 以上の世帯に 85MWh 以上のクリーンエネルギーへのアクセスを提供し、グリッド内で約 500 ⼈の起業家にサービスを 提供しています。
⽔資源部⾨
シンガポールの中⼩企業である Wateroam は、被災地や農村地域向けの携帯⽤浄⽔器を通じて、 汚染された⽔という世界的な問題に取り組んでいることが評価され、受賞しました。